マメ知識

【マメ知識】水草水槽の適温

【マメ知識】水草水槽の適温

みなさんこんにちは!
アクアフォレストメンテナンス事業部の轟です!

今回は水草水槽の水温について書きたいと思います!
今日のブログでは、、、

・水草水槽の適温
・水温を下げる方法
・高水温、低水温に強い水草
・底床内の温度
・ミスト式の注意点

以上、5点について書きたいと思います。
それでは始めます。。。

・水草水槽の適温
結論から言うと、
(18℃)22℃~28℃(30℃)
この幅で管理していれば問題は無いでしょう
※()内は一応の下限と上限です。

これ以下でも以上でも、すぐにダメになるわけではありませんが管理上問題無く(無理無く)行えるのはこの範囲内です。
上記よりも水温が低い場合は、代謝スピードがかなり低下するので成長速度が低下します。
高い場合は代謝スピードが上昇するので、より多くの光、養分、CO2を必要とします。

水草によって対応温度の幅にかなりの差があるので一概には言えないのですが、上記温度内で管理していれば今流通している水草のほとんどを問題無く育成することが出来ます。

水は冷ますより温める方が簡単です。
そのため冬場の方が温度管理は簡単です。
ヒーターを設置して電源を入れれば設定した温度まで温めてくれます。
難しく考える必要は無いですよ!!

大変なのは夏ですね。
水温を下げるのは大変です。。。

水温を下げる方法は大きく分けると↓の方法があります。
それぞれメリットデメリットと一緒に書きますね!

①冷却ファン

もっとも手軽な方法でしょう。
水に風を当てて蒸発させる際の気化熱で冷やす方法です。
蒸発量が多いほど冷えるので、フタは外しましょう。
仕様上、蒸発させることで冷やすので、水がどんどん減ります。
旅行等で数日空ける場合は蒸発によるフィルター、ヒーターの誤作動に注意が必要です。

大体、現在の水温から2℃~4℃程度冷やすことが出来ます。

メリット
・安価
・手軽
・省エネ
デメリット
・水が蒸発する(一日/1㎝くらい水位が下がる)
・効果が部屋の環境に大きく左右される

②水槽用クーラー

もっとも確実に水温を下げることが出来ます。
水槽に適したクーラーを使用していれば、自在に水温をコントロールすることが出来ます(クーラーの設定温度内で)
25℃以下の水温でなければ育成できないような生き物を飼育する場合は必須。
後述するエアコンでもかなり低水温まで下げることができるのですが、室温を下げる必要があるので人間の体調と電気代に大きな負担となります。そのため冷水を好む生物を飼育する場合は水槽用クーラーの使用がオススメです。
高価なので導入には勇気が入ります。
簡単に言うとエアコンの室外機みたいなものなので、水槽の熱を部屋に逃がすような仕様です。
外気の影響を受けないようにすることで効率が増します。そのため、しっかりとフタを閉めた方が良いです。
水槽水量に合わせて機種を選ぶことになりますが、フィルターからの排熱、ライトの熱量等の周辺機材とのバランスも考えなければいけないので、出来れば専門店で相談しながら選んだ方が良いかと思います。
水を循環させる必要があるので、別でポンプを用意するか、外部式フィルターに接続して使用することが多いです。
外部式フィルターを使用する場合は負荷による流量低下に注意が必要です。

メリット
・目的の水温まで下げることが出来る
・低水温を好む生き物を飼育出来る
デメリット
・排熱で室温が上がる
・高価
・電気代がかさむ

③エアコン

みんな大好きエアコンです。
室温をコントロールすることで目的の水温をキープします。
一般的な水温で管理出来る生き物、植物なら最適な温度管理方法です。
店舗は基本的にエアコン+ヒーターで水温を管理しているところが多いですね(ウチも)
冬場は28℃~30℃、夏場は23℃~25℃設定くらいにすると丁度良い水温でキープ出来ます。
水槽の設置してある高さで水温にムラが出来るので注意が必要です。
天井に近いほど水温が高く、床に近いほど水温が低くなります。
室温を使って間接的に水温をコントロールするため、水温を変化させるのに時間がかかります。
また、室温を20℃以下、30℃以上にしたりと極端な水温にしようとすると暮らしづらくなりますので、その場合はヒーターやクーラーと組み合わせて水温をコントロールしましょう!
空気が乾燥するので、アクアテラリウムやパルダリウム等の湿度が大切な水槽は注意が必要です。
エアコンの省エネ能力にもよりますが、60㎝水槽3~4台をヒーター、クーラーで管理するよりもエアコンで管理した方が電気代が安くなると思います。
複数台管理している方は1部屋にまとめてエアコン24時間管理にしても良いと思いますよ!
爬虫類、虫、小動物等の飼育も水草水槽と一緒に楽しまれている方は、いっそエアコンでまとめた方が電気代も安いし、管理も楽だと思います!

メリット
・水槽に温度管理グッズを入れなくて良い(美観アップ)
・一元管理が出来る
・温冷両方に対応可能
デメリット
・水温にムラがある
・極端な水温は管理しづらい
・乾燥する

こんな感じでしょうか。
基本的にはどの方法も水槽の熱を室内に逃がすような形ですので、サーキュレーター等を使用して室内の空気循環を良くすると効率が上がります。
ファンは「フタを外す」、クーラーは「フタをする」ようにした方が良いので間違わないように注意してください!

水草水槽の場合は上記対応に合わせて、CO2添加量を増やす、施肥量を増やすことで高水温による代謝の増大に対応しましょう!
高水温そのものよりも「水温上昇➡代謝増大➡各要素の要求量増大」に対応出来ず、CO2不足、肥料不足から調子を崩すパターンが多いですよ。
代謝が増しているので成長スピードも上がります。いつもよりマメなトリミングも必要になります。

水草の代謝が上がるという事は、コケの代謝も上がるということです。
水温の上昇と共にコケの発生量が増えることを経験している方は多いはず!
ここに水草水槽における夏場の難しさがあります。
夏場の難しさを方程式っぽくすると↓みたいな感じです。

「水草」
水温上昇=代謝↑=各要素の要求量↑  ➡ CO2添加量を増やす、施肥量を増やすことで対応

「コケ」
水温上昇=代謝↑=増殖スピード↑ ➡ 点灯時間を短く、肥料を少なくすることで対応

水草に焦点を当てて考えると代謝が増す→各要素の要求量増大に対応して各要素を増やすとなりますが、コケに焦点を当てるとこれは逆効果になってしまいます。
コケを少なくすることに集中すると各要素を少なくする必要があります。

コレは夏場に限らず水草水槽の永遠のテーマですが「コケは少ないけど水草は元気」というところに各要素のバランスを調整する必要があるという事です。
夏場はバランスの遊びの幅が狭くなるんですよ!

「今まではコケも無く水草が元気だったのに急にコケが出た。なぜ???」
「CO2も肥料も同じようにやっているけど水草が元気無い、、、」
この時期になるとこういったご相談が増えます。

これは水温上昇によってバランスの幅が狭くなったことが原因です。
今までは遊びの幅の中だったけど、狭くなったことで「コケが出るor水草の調子が悪くなった」となったのです!

上の方でも書きましたが、水草水槽の夏場対策は各要素の要求量増大に合わせてCO2添加量を増やす、施肥量を増やすことが基本方針です。
水草の元気が無くなってしまうと美しくないですし、なによりさらにコケが増えてしまいます。
コケ予防の最良の方法は元気な水草そのものなので、、、
コケの発生量増大にはコケ取り生物達を増やすことで対応するのが吉です!
点灯時間を短くしたり、肥料を少なくするのは短期間にして水草の調子を崩さないようにするのがコツですよ!!

続いては低温、高温に強い水草をご紹介します!
どうしても水温が高くなってしまう水槽やヒーターを使わない水槽等の水草選びの参考までにどうぞ

・高水温、低水温に強い水草
高水温に強い水草

・代謝の遅い水草
アヌビアス類やクリプトコリネ類等の代謝の遅い水草は高水温に強いです。
もともと代謝が遅いので代謝が上がることの弊害が少ないためと思われます。
成長が遅いのでコケに負けないよう注意が必要ですが、夏場にダメにしてしまうことが少ない水草たちです。
例外としてミクロソリウム、ボルビティス等のシダの仲間、ウィローモス等のコケの仲間は代謝が遅い水草達ですが高水温は苦手です。

・浮葉を持つ水草
アマゾンフロッグピットやホテイアオイ、サルビニア等の浮き草の仲間、タイガーロータスやニムファ等のスイレンの仲間は高水温に強いです。
水温が高くても調子が変わらないので、あんまり高水温の影響を受けないのかも。むしろ夏場が最盛期。
逆に低水温は苦手なので注意です。

低水温に強い水草
・温帯域の水草
北米やオーストラリア、インド北部、中国、ヨーロッパ等の日本と同じような気候帯を原産地とする水草はヒーターを使わなくても育成可能です。
ただ、ヒーターを使用しないと冬場は代謝がかな~り遅くなるのでほとんど成長しませんが、、
アナカリス、カボンバ、マツモ、ウォーターバコパ、ディディプリス、ルドウィジア、ロベリア・カージナリス、ウォータースプライト、グロッソスティグマ、オーストラリアンクローバーなどなど、、けっこうありますよ。

・コケ類全般
コケ類は全般的に低水温を好みます。凍らなければ外でも越冬しますよ!
水槽でも低水温をキープすることで綺麗に育てられます。
マリモもここに含まれます。
熱いのは苦手なので注意!

・シダ類全般
ミクロソリウムやボルビティス等のシダ類は低水温を好みます。
外だと越冬は厳しいかもですが、室内ならヒーター無しでも十分越冬可能です。
余談ですがシダ類は適度に水流が無いと調子を崩します。
葉の付け根あたりに新鮮な水が当たるようにすると良いですよ!

以上、水草の紹介でした!
水草の図鑑を見ると草ごとに原産地が載っていますので、グーグルマップと組み合わせてみることで、ほとんどの水草はなんとなくの水温の好みを把握することができます。
年間の平均気温や最低、最高気温等各種データがでますので、、
意外な草が(お魚もですが)低水温に強かったり、逆に熱いとダメなヤツとかありますよー。
特にインドやアフリカ、南米大陸の下の方を原産とする種は皆さんのイメージと違うかもなので、興味のある方は調べてみてくださいね!

続いて水草水槽の温度のもっと突っ込んだお話です。

・底床内の温度

遥か太古の昔、ラインヒーターという商品がありました。
電熱線を水槽底面に張り巡らせ、断続的に電源を入れることで底床内に対流を起こして底床内の微生物や根の働きを助けるものなんですが、寒冷地で水道が凍らないように配管に巻き付けるヒーターみたいな感じです。
もう日本では流通していないと思いますが、ヨーロッパではまだあるのかな??
ダッチアクアリウムでは定番のアイテムだったのですが、、、
冬場に底床内の水温が下がることで起こる弊害を何とかするためにあるシステムなんですが、日本はドイツとかオランダよりも温暖なので、冬季における底床内の温度低下はそれほど問題になりませんでした(私も使ったこと無いです)
なので徐々に無くなってしまいました(売れなかった)

時は流れて現代、最近は盛り土をしたレイアウトが増えました。
ADAのレイアウトコンテストに合わせて作る方が多いので、あまり長期維持を考えてセッティングすることは少ないですが、厚く敷いた底床は長期維持を考えた場合、底床内の水の循環や温度管理を考えないと崩壊する危険があります。
長期間、底床内に水の動きが無いと↓のようなことが起きます。

・底床内が嫌気になって腐る
・嫌気化により有益な土壌微生物が死ぬ
・ソイルの場合、崩れて泥状になる

こうなってしまうと環境を一から作り直す方が簡単なのでリセットする流れになります。長期維持どころではないですね。
また、底床内の温度が低いと前景草の成長が鈍ったりします。
冬場に前景草が調子を崩した場合、底床内の温度が低いことが原因かもしれません(あんまり無いとは思いますが、、)
根張りが悪かったりするのは土壌内の微生物の活性が悪くても起こりえます。

私はセット初期に微生物の増殖を促すために28℃くらいにして立ちげることが良くありますが、冬場は立ち上がった後もそのまま28℃でキープすることが多いです。そのほうが調子が良いので。
高水温で代謝がいいから調子が良いのか、底床にまで温まるから良いのか微妙ですが一応皆様にお伝えしておきます。
ちなみに28℃だと底床内の温度は20℃くらいでした(水温計をぶっさしました)

経験的に夏場に25℃くらいでキープするのが水草水槽にとって一番良い気がするので底床内もある程度水温が高い方が土壌微生物達の活性が上がって調子が良くなるのでは??と考えています。
(夏場は底床内の温度は25℃くらいでした)

盛り土をしたレイアウトを長期維持する場合、底床内を好気的に保つことはかなり重要と今まで以上に最近強く思います!
そのため最近は温度で循環させるのでは無く底面フィルターを外部式フィルターの吸水部分に使用することでもっと直接的に水を循環させています。
コレとっても立ち上がりが良いことが判明したので、もうちょっとデータが集まったらご紹介しますね!!
興味のある方は私がいたらお声掛けくださいね~!

最後はこちらです。
・ミスト式の注意点

最近、主流になりつつある水草水槽の立ち上げ方ですね。
ミスト式のあらましはググってもらえればたくさん出てくるので今回は割愛します。
簡単に立ち上げが出来ることが最大のポイントだと思うのですが、ちらほらと「水草が育たない、、」「ぜんぜん伸びないよ、、」「溶けたよ、、」というご相談を受けます。
これ温度が原因の場合が結構あります。

生き物の代謝は体温で決まるように植物の代謝も温度で決まります。
温度が高ければ代謝も高く、低ければ代謝も低くなります。

冬場にミスト式で立ち上げた場合は室温をエアコンで20℃以上にしないと成長スピードが遅いです
室温が平均10℃くらいならほぼ成長はストップしますよ。
成長がストップしているということは緩やかに枯死に向かっているようなものなのです。
室温をエアコンで上げられないなら、水を張って今まで通りに立ち上げた方が無難ですよ。
(爬虫、小動物用のヒーターが利用できるかもしれませんね)

夏場は逆に暑すぎてしまって蒸れで水草が溶けてしまうことがあります。
こちらもエアコンで室温を25℃くらいに設定してあげればよくなるはずです。

ミスト式で立ち上げるなら室温をTシャツ1枚で過ごせるような感じにすると良いです。
ちょうど今時期くらいの室温でしょうかね。
エアコンを使わずミスト式で立ち上げるなら、4月~6月、9月~11月くらいがオススメですよ。

ちなみに陸上の植物は風の流れがとても大切なので、毎日一度はフタを開けて空気を入れ替えてあげましょう!

ミスト式はマメな換水、コケの発生、水草の初期育成等の水槽立ち上げ時の難しい部分をスキップ出来る素晴らしい方法なのですが、万能ではないので弱点を理解して上手に取り入れてくださいね♪
ご不明な点はご来店時にご相談ください!!

これで水草水槽の温度のお話はお終いです!
ダラダラと長いブログを書き続けてきましたが次回でそろそろ一区切りです。
今までは大きな括りから水草水槽というものにアプローチしてきましたが、次のシリーズからはより具体的な内容を書いていきたいと思います。
このブログで皆様のアクアライフがもっと簡単にもっと自由になるようになれば幸いです。
次回もお楽しみに!!!!

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