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肥料について

植物を育成するうえで栄養分は欠かせない物,特にアクアリウムのように狭い水槽内で育成しているとほとんどの場合水草は栄養不足になってしまいます.
そこで人為的に肥料(栄養分)を添加してあげる必要が出てくる訳です.
肥料と言っても,いろいろな種類があり何を使ったらいいのか解らない!肥料をやったのに水草が育たない!などの声を良く聞きます.そこで今回は肥料について解説していきたいと思います.

肥料の成分

一般的に肥料の中に入っている物質は,窒素,リン,カリウム,カルシウム,マグネシウム,イオウ,マンガン,ホウ素,鉄,銅,亜鉛,モリブデン,塩素など でこの中でも窒素,リン酸,カリウムは植物の3大栄養素といわれ,他の物よりも多く必要となり多めに配合されています3三大栄養素には下記のように作用が あります.

窒素
葉や茎の形成に深く関与しており,欠乏すると全体的に貧弱になり,やがて成長点の萎縮などの症状が出ます.
窒素は三大栄養素の中でも多量に必要な成分ですが,水槽内では魚の老廃物・水草の枯葉などに多く含まれ,魚の多い水槽では過剰に存在することが多いです.

リン
開花・結実や細胞内での生理現象に関与しており,欠乏すると生理現象がうまくおこなえなくなり成長不良を起こします.
リンは魚のエサの中に多く含まれ(特にオキアミに多く含まれると言われています)残餌や老廃物などから水中に溶けだします.
水中で開花や結実する事が少ない水草にとって,リンは多量に必要ではなく窒素と同じように魚の多い水槽では過剰に存在しやすいです.

カリウム
根の形成やたんぱく質の合成に必要な物質で,欠乏すると下葉が落ちたり葉が黄化するなどの症状が出ます.
カリウムは水道水に微量含まれる程度で一般的に不足する事が多く3大栄養素の中では添加する必要性が高い物質です.

肥料の種類

前項でかいた成分を水槽に入れれば良いのですが,その量の調整が難しいです.(私も苦労してます)
偏った栄養は植物に悪影響を与えたり,コケの発生原因になりかねません.
水草は,肥料を根や葉面などで吸収します.肥料のタイプとして大まかに分けると液体タイプ(葉面などからの吸収)と固形タイプ(根からの吸収)がありそれぞれ特徴があります.

△液体タイプ
液体なので添加後すぐに水槽内に広がり全体を同じ濃度に保つことができ,水中の露出部全面で吸収ができるので即効性があります.
液体の為使用する量の調整がしやすいのも利点と言えるでしょう.反面,一部分だけ肥料濃度を濃くする事が出来ません.
水草は肥料分を多めに蓄える事が出来ないので,その日に使用する分だけしか吸収が出来ません.余った肥料はコケに吸収されてしまいますので毎日少量づつ添加して使用する量に注意する必要があります.
液体タイプの中でも窒素・リンを含むものと含まないものがあり使用目的によって使い分ける必要があります.

△固形タイプ
液体タイプと違って部分的に使用する事ができるので,肥料の吸収率が異なる水草が同じ水槽に入っている場合はとても有効です.
また,固形の為にすぐに溶けず徐々に効果が出てきます.効果がその日限りと言うわけではないので毎日入れる必要が無く少しぐらいなら入れ過ぎてもすぐにコケだらけにはなりにくいのも特徴です.
逆に一部分にしか入れないと全体には回りきらずに一部分しか肥料分の補給ができません.また,効果がすぐに出ないので適正量が把握しずらいという点があります.
固形タイプの中でも大まかに二つに分けられ,底床を敷く前に使用する初期セットタイプと肥料不足になった時に使う追肥タイプがあります.この中でも,含まれる成分が製品によって違うので使用する水槽に合った物を選ぶ必要があります.

実際の肥料添加

それでは,どのようにして水槽へ肥料を添加するかご説明します.
まず,心にとめておいて頂きたいのは肥料添加は不足を補うものであり,けして多過ぎて良いことはありません.
一般的に肥料のパッケージに書いてある使用量は,雑誌などで見る水草がいっぱい入っているレイアウト水槽での使用量です.一面に水草を入れていない限り規 定量を入れる必要ありません.コツとしてはできるだけコマメに少量を様子を見ながら添加しましょう.目に見える効果が出てくるには,1週間程度かかると考 えておくと良いでしょう.
理想としては,水槽セット時に今後の水草の量を計算して底床肥料をセットして液体肥料を使いバランスを取ります.
その後初期に入れた底床肥料が切れた頃に追肥タイプの肥料を使い出します.追肥タイプの肥料も始めは少なく使用し少しづつ量増やし様子を見ながら適量を調 べましょう.また,魚の量や大きさによって窒素やリンの必要量が変わるので使用する水槽に合った商品を探す事が大切です.良く解らない場合は,販売店のス タッフに相談するのも肥料を上手に使うコツだと思います.
水槽の状況に合わせて上手く肥料を使いこなし,コケの無いイキイキとした水草水槽を作りましょう.

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