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底床について

植物(水草)にとっての土壌

植物は土壌にしっかりと根を張り,自身を固定するとともに,土壌から水分・肥料分を吸収しています.
もちろん水草にとっても,土壌(底床)は非常に重要で,底床の選び方で育成可能な種類が決まってくる事も多々あります.
※例外的にマツモなど根を張らない水草もあります.
各種の底床の特徴を解説して行きます.

大磯砂(フィリピン砂)

もっとも古くから,アクアリウムに導入された砂利で,当時は神奈川県の大磯海岸で採集されていた為,こう呼ばれています.
現在では大磯海岸は採集禁止となっている為,フィリピンなどから輸入されています.
南国砂なんていう名称でも販売されています.

・メリット
比較的安価に入手が可能ですし,あくまで砂利ですので非常に長期間に渡って使用が可能です.
また,7厘(0.7分)/1分/1分上など粒の大きさが細かく分かれていますので,各種環境に応じて適切なものを選択できます.
※7厘:2~3mm,1分:3~4mm,1分上:4~6mm

・デメリット
海岸で採取される砂利の為,どうしても貝殻やサンゴの骨格が混入していますので,使用当初はpH・KH共に上昇しがちで,弱酸性を好む水草や熱帯魚の育成・飼育に向かない.
また,いわゆる肥料分も含まない為,肥料要求度の高い水草育成には底床肥料が必須となります.

カルシウム分を多く含んでいるデメリットはあるが,長期間使用した大磯(貝殻・サンゴが溶けきった)砂利は,非常に水草育成に向いています.5年以上使用 した大磯砂利は宝物と言えるでしょう.また,酸を使用して貝殻・サンゴを人為的に溶かし,はじめから水質に影響を与えない手法もあります.
※酸を使用するときには十分な注意が必要です.

粒のサイズは,水深45cm程度までは粒の細かい7厘で良いでしょう.60cm程度の水深があるならば1分がおすすめです.底床を2層に別けるときなど は,下方に1分上を使用し,上方に7厘や1分を使用すると,底床内の通水がよくなるメリットがあります.

育成に向いている水草:アンブリア・クリプトコリネ(細葉系)・パールグラスなど
育成に向いていない水草:トニナの仲間・クリプトコリネ(広葉)など

ソイル系(土系)

ADAのアクアソイルシリーズやNISSOのアクアプラントシリーズに代表される,ソイル系についてです.
天然土壌を比較的低温で焼いた物で,現在の主流と言えるでしょう.

・メリット
植物が発根するのに非常に理想的な底床材であり,水質を弱酸性にする性質があるために,非常に簡単に水草の育成が可能です.
また,多くの製品は肥料分が含まれており,それ単体でも十分な効果が期待できます.
セット時に洗浄が不要なのも助かりますね.

・デメリット
比較的柔らかく,徐々に粒子が崩れてきますので,長期間の使用は望めません.
また,硝酸塩やリン酸塩が蓄積しやすいので,長期に使用する場合はコケの発生に注意が必要です.

メリット・デメリットを比較すると,現在ではもっともオススメしやすい底床材といえます.
特に育成困難と言われる南米系の水草なども,他の条件(光量・CO2添加・肥料添加)を整える事で,比較的簡単に育成が可能です.
1~2年に1回のリセット作業さえ覚悟すれば,理想的な底床材でしょう.

育成に向いている水草:トニナの仲間・グロッソスティグマ・ラージパールグラスなど
育成に向いていない水草:アンブリアなど多少のカルシウム分を必要とする水草

セラミック系

ADAアクアセラミックシリーズなどに代表されるものです.ソイル系と違い高温で焼いている為に硬く,崩れにくくなっています.定型のものと不定形なものとあり,扱いが異なる為注意が必要です.

・メリット
長期間の使用が可能であり,多孔質なためバクテリアも付着しやすい.また鮮やかな色をしている製品もあり,自分のイメージにあったものが選び易い.

・デメリット
定型の製品は隙間が出来る物が多く,水草の発根がうまくいかない事がある.またやや比重が軽く,水草を植えこむのがやや難しい面があります.

大磯などの天然土壌とソイル系の中間的な性質を持っていますので,熱帯魚を中心に水草も楽しみたい方にはオススメしやすい底床材ですね.立ち上がりも比較的早く,水質に影響を与えません.

砂(サンド)系

ブライトサンドや新田砂・サンディーゴールドなどに代表される種類です.非常に細かいので,コリドラスファンの方には非常に人気のある底床材です.
製品によってはカルシウム分が多く,pHを上昇させやすいものがありますので,注意が必要です.

・メリット
粒子が細かいため,非常に水草が植えやすく,肥料分が含まれている製品は水草育成に向いています.もちろん長期使用にも耐えられます.

・デメリット
通水性が良いとはいえず,底床内が酸素不足になりやすい.特に水深の深い水槽では注意が必要.
細かい粒子のため,繊細なイメージがあり,特に小型水槽ではオススメです.多少厚みが薄くても植栽はしやすく,ほとんどの水草が育成可能でしょう.

天然砂利系

大磯砂と呼ばれている物の他にも,多くの川砂・海砂が発売されています.多くの製品がありますが,水質に影響を与えるものも多く,十分検討してから導入しましょう.
特にサンゴ砂は水質をアルカリに傾けるため,水草水槽には使用しないようにしましょう.

底床についてのまとめ

各種の底床材に関して解説いたしましたが,底床材によって水草育成は簡単にも難しくもなります.ショップの店員や,アクアリウム仲間に実際に使用したときの感想を聞いてみるのも良いでしょう.

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