アクアフォレスト

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マメ知識

【マメ知識】水草水槽における無換水の可能性

みなさんこんにちは!
アクアフォレストメンテナンス事業部の轟です!

今回はアクアリウム民の憧れ「無換水」についてお話しをしようと思います。
無換水とは、水を換えずに足し水のみで維持管理をするということです!

水槽を維持するうえで最も大変な作業。それが換水ではないでしょうか?
今まで幾多の換水不要を謳う商品が発売され、そして消えて行ったのでしょう。。。
私も初心者の頃は謳い文句にヤラレて失敗したこと多数。
いつしかそういった商品は信用しなくなり、やっぱり換水だよね~という考えに至りました。

日々水槽を管理していると技術の向上と慣れにより換水に掛かるコスト(時間、手間、お金)が減り、習慣化することによって苦痛が減ります。
また、継続して水槽を観察していると、ちょっとした変化にも気がつくようになるので一回換水するごとに水草が元気になっていくのが実感できるので換水することが楽しくなります。

ですが!
換水をしなくても良いならそんな楽なことはないですよね。
ということで今回は無換水管理についてお話しようと思います。

まずは「換水をするということはどういう事か」からご説明いたします。
アクアリウムにおいて換水をする大きな理由は↓の5つです。
①溜まった汚れの除去
②水の色を透明にする
③pH調整
④余分な養分の除去
⑤水草の活性化

それぞれ詳しく書くと、、、、
①溜まった汚れの除去
硝化作用で出来た硝酸塩、バクテリアが分解した後に残る汚泥の除去が主な理由です。
硝酸塩は脱窒菌がいれば窒素まで還元することが出来ますが、水槽中で脱窒菌が増える場所(嫌気層)を作ることが困難なので基本的に換水によって取り除く必要があります。
また、底床内に溜まった汚泥を底床クリーナーを使って取り除くには排水と同時に行う必要があるので必ず換水とセットになります。

②水の色を透明にする
流木から出るアクやフェノール等が蓄積すると水が段々と茶色になってきます。
極端に害のあるものではないので、生体や水草の調子にはあまり関係がありませんが、見た目がとろんとした感じになるというか新しい水のシャッキリとした感じでは無くなってしまうので印象が悪くなります。

③pH調整
基本的に水槽の水はバクテリア等の働きでpHが下がっていきます。①で出てきた硝化作用による硝酸塩はなんらかの方法で取り除かないと水槽に徐々に溜まってpHを下げる原因になります(酸なので)
換水をすることによって下がったpHを水道水で上げることが出来ます(当店の水道水は大体7.5くらい)
※実際はpHが下がったからと言ってだからどうした?くらいの感じなんですが。グッピーもプラティもモーリーも当店は5.5くらいで管理しています。pHが低いこと自体は生体にとって害ではありません。むしろその方が調子が良かったりします(4.0をきると流石にマズイですが)
pHを硝酸塩量のバロメーターとして見ているので、pHが低い=硝酸塩が溜まっていると仮定して換水の目安としています(pHが下がる原因は硝酸塩だけでは無いので注意!)

④余分な養分の除去
ソイルを使った水槽では(特に栄養系ソイル)セット初期に養分過多状態になることがあります。
養分過多状態が続くとコケの発生を招くので換水によって取り除く必要があります。

⑤水草の活性化
なぜか換水をすると水草が元気になります。換水の物理的な刺激が良いのかなんなのか不明ですが、調子が良くなることは間違いありません。特にCO2を添加していない水槽では水道水に含まれるCO2が入るので、CO2を添加したような効果を体感できます。(ボンベにて添加する程ではないですが)そのため、CO2を添加していない水槽でも極端な話ですが毎日全換水をすると水草が元気に育っちゃいますよ。
また、水道水に含まれているカルシウムとマグネシウムは水草の必須元素なので換水毎にそれらを添加しているようなものですね。
④と合わせて水草水槽の立ち上げで換水が推奨されるのはこれらの理由があるからです。

ざっと書き出すとこんな感じです。
ということは要するに①~⑤をなんとかすれば無換水でも大丈夫ということです。

店舗にて無換水でしばらく管理していた水槽があったのでご紹介致します。
↓は2017年2月から2018年1月まであった新宿店店頭の120㎝水槽です。
(今は新しいレイアウトになってます)
コレを撮影したのは2017年12月です。
最後に換水したのはたしか2017年7月だったはず。

水槽サイズ 120㎝×45㎝×50㎝(H) 約260リットル
照明 ADA ソーラーRGB 2台
ろ過 エーハイム 2217 1台 ADA ES-1200 1台
CO2添加 大型ボンベにて強制添加 1秒/4滴 30mg/L
底床 ADA アクアソイルアマゾニア ライト
水質  pH6.4 KH2

セットしたのは2017年2月、4月頭にアクアプランツ掲載用の撮影を控えていたので、素早く水景を完成させる必要がありました。
そのため、水草を活性をあげようと1週間に3回50%程度の換水を行っていましたが、撮影終了後は一気にサボって月1で50%程度の換水にて管理をしていました。
それが2ヶ月に1回になり。。。最終的に7月以降は無換水になりました。
ちなみにフィルターは一度も清掃をしませんでした。
ろ材のセッティングはパワーハウスMサイズとキョーリンブラックホール(活性炭)のみ。
ろ材は物理ろ材、生物ろ材、化学ろ材の3種類を組み合わせるのがセオリーですが、特に理由が無い場合は物理ろ材(ウールマット等)は入れないようにしています。
物理ろ材が一番目詰まりするので(それだけ細かものを濾し取っているということですが)フィルター清掃のスパンを長くするために今回は使用しませんでした。
物理ろ材は最近では特に狙いが無い場合は使用しないことが増えましたね。
ろ過のお話はまた別の機会に詳しくブログを書きますね!

水槽の説明はこれくらいにして、この水槽を例にして、無換水化するために①~⑤とどう向き合うかをご説明いたします。

①溜まった汚れの除去
水草の必須元素の窒素はようするにアンモニアと硝酸塩です。
ということは水草の代謝を上げて調子良く管理していれば、水槽内の硝酸塩を吸収してくれるということです。
肥料添加を上手にコントロールすれば、硝酸塩濃度をほとんど0にすることも可能です。
また、底床内に溜まる汚泥はバクテリアの調子が良ければ分解されてあまり溜まらなくなります。
ソイルを使用した水槽はあまり底床クリーナーをかけなくても調子が良いのはこのためです。
基本的には養分消費量の多い、成長の早い有茎草を主体としたレイアウトが望ましいでしょう。
主体というとなんともファジーな表現ですが、水槽体積の3分の1以上を占めていると良いでしょう(多ければ多いほど水が綺麗になります)

②水の色を透明にする
これはどちらかというと見た目の問題なのですが、水は透明な方が美しく見えます(当たり前か)
「水が無いように見える」事が理想とされたりもするので、気になる場合は定期的に活性炭等の濁り除去作用のあるものを入れるor交換して対応するしかないですね。
↓のような方法が現実的でしょうか。
・フィルター内に活性炭を入れるor交換する
・水槽内に活性炭を入れちゃう(例えば一時的に内部式フィルターをつける等)
・吸着系ソイルを追加する
※この水槽は「吸着系ソイルを追加する」で対応しました。
ソイルには有機物、無機物由来の養分も含まれているので、肥料を追加という狙いもありました

③pH調整
これは①と重複する内容にですね。
ようするに硝酸塩が溜まった結果pHが下がるのですが、水草が硝酸塩を消費してしまうので一時的に下がっても、また元に戻ります。
問題になるのが肥料に含まれている硫酸でしょうか。
硫酸塩はマイナスの電荷を持っているのでソイルも保持してくれず、水槽水中にずっと残るのでpHを徐々に低下させます。
アクアリウムメーカーが出している肥料には硫酸はあまり入っていないのでそれほど気にしなくても良いと思いますが(多分)
農業や観葉植物用の肥料を流用している方は気にした方が良いでしょう。(硫安とか硫酸カリウムとか)

④余分な養分の除去
これは主にセット初期に問題になることなので、水槽が安定してから無換水管理に移行するようにすればよいでしょう。
あとは水草の代謝を落とさないようにしっかりと施肥しつつ、余分な養分が出ないような肥料管理を心掛ければよいでしょう!
言葉で言うのはなんと簡単なのでしょうか。コレは難しいですよ。水草管理の奥義と言っても過言ではないでしょう。
基本原則は「足りない元素を補充する!」です。
これを肝に命じてくださいね。
肥料については以前のブログで詳しく書きましたのでお時間のある時にでもお読みください(肥料その①その②その③おまけ

⑤水草の活性化
これも主にセット初期に必要になることですね。
セット初期=肥料が余りがち なのでこれから早く脱却するために換水で水草の活性を高めつつ、余分な養分を出していくと立ち上がりがスムーズなのでセット初期は換水で乗り切るようにすると良いと思います。
今流行りのミスト式で立ち上げると、水草が根付いて落ち着いた状態からスタート出来るのでいきなり無換水でも行けるかもです(まだ自分で試していませんが)
換水をしないと水道水で賄っている元素カルシウムとマグネシウムは欠乏しがちになるので施肥で補う必要があります。
カルシウムは欠乏症状が出ているのかやや疑問ですが、マグネシウム欠乏は換水をしないと割と頻発するので注意したほうが良いでしょう。

まとめると
・水草の代謝を上げてたくさん養分を消費させる
・水草の代謝を守るため、肥料欠乏になる前に施肥をする
・水中に残る元素に注意する(水草が消費しないorあまり消費しない)
・立ち上がるまではこれまで通り換水にて対処
・透明感が無くなったら活性炭を入れる、交換する、吸着系ソイルを追加する

こんな感じでしょうか。
要するに水草の水質浄化能力を最大限に利用するということです。
あ、ちなみに一部を水上葉化させたり、水に強い観葉植物の根だけ水中に入れるようにするとたくさん養分を消費してくれますよ。アクアポニックス的な発想ですね。

とここまで無換水を揚げてきましたが、決してメンテナンスフリーでは無いことに注意してください!

水草を高代謝に保つことが肝なので、設備投資はもちろん、マメな施肥が必要です。
どんどん成長するという事は、マメなトリミングが必要ということでもあるので、レイアウトの維持は大変です。
↑の水槽はシンプルな構図とトリミングに強い種類のみを後景に使う事でレイアウトの維持にかかるコスト(手間、時間、お金)を下げています。
シンプルな構図にすることでトリミングの手間を削減しています(左右と中央に山をつくるだけ)
トリミングに強い種類なので1年で差し戻しをしたのは2回だけです。
(右奥のミリオフィラム・マットグロッセンセグリーンのみ差し戻しをしました)
このように手間はそれなりにかかるのです。

どうですか皆様?
皆様の水槽は無換水のコストと換水のコスト、どちらが多いでしょうか???

意外と換水しちゃった方が楽だったりすると思いますよ。
換水は偉大なのです。
特に水草の代謝が低い水槽で管理されている方は、素直に換水で管理したほうが楽だと思いますよ。
例えば↓のような環境ですね。
・陰性水草主体のレイアウト
・砂利系の底床を使ってわざと水草の成長をセーブしている
・生体メインの水槽
・CO2添加無し、暗めの環境等の水草の代謝を高く出来ない水槽

上記のような環境でも、植物の水質浄化能力を利用する方法もありますよ。
興味のある方は「アクアポニックス」で検索すると面白いかもです。
水槽の一部に水上葉や観葉植物を茂らせるアイデアがたくさん出てきます(外掛けフィルターや上部フィルターを流用感じです)それらを参考にちょっと植物を茂らせてみてください。
きっと植物の水質浄化能力に驚くはずですよ。

アクアリウム民は大抵↓のような感じでクラスチェンジすることが多いでしょう。
水換えしないとダメ??水換え絶対!やらないやつは××換えても良いし、換えなくとも良い結局、換水してます
皆様はどのあたりでしょうか??
今までの経験上、ショップ店員は↑のルートで成長していくパターンが多いと思います。
皆様はどんなルートで先へ進んでいくんでしょうね~
私は結局換水するようになってしまいましたが、水草水槽って無換水は不可能なのかな?という疑問から無換水管理に戻ってきた感じです。
昔よりは肩ひじを張らず換水を楽しみながら管理できるようになっていますが、工夫しながら無換水にチャレンジしているのも楽しかったりします。
あとの課題はメンテナンスフリー化ですね♪
足し水はやろうと思えば自動化できますし、後は施肥か。
ちなみにメンテナンス先の水槽で肥料自動添加を実験中なので、上手くいくようならそのうちブログで紹介しますね。

あ、トリミングは無理か。
でもまぁトリミングまで自動化したらレイアウトを作る楽しみが無くなってしまうので良しとしましょ。

そのうち水槽管理支援特化AIとか開発される世の中になるんでしょうかね?
「オッケーグーグル。今日の肥料添加量は?」
「カリウムヲ3ミリリットル、チッソヲ1ミリリットルテンカシテクダサイ」
とかなったら便利ですよね。
コケ退治用ナノマシンとかも良さげですね。
「水槽に蒔くだけでコケを退治!自己増殖機能で換水に対応。一定数を保ちます!」
みたいな感じで。
僕らの仕事無くなるかもしれませんが(笑)
アクアリウムの世界にも明るい未来が来るように今から祈っておきます(笑)

話が変な方向に逸れましたが、結果を一言でいうと
「無換水は可能、でもそのためのコストがかかる」
というのが今のところの答えです。
皆様も今回のブログを参考に無換水管理にチャレンジしてみてください。
ご自宅の環境がハマれば割と簡単に無換水は達成できると思いますよ!
ただし、美観も美しい無換水管理となるとそれなりの手間がかかるので、適度に換水管理に戻る方が多いとは思いますが。。。
一回、無換水管理を経験すると換水していたころと比較して水槽と向き合えるようになるので、水草水槽の立ち上げのマスト「毎日全換水」みたいな考え方から離れられると思うので、管理のストレス軽減に繋がると思います!
(毎日全換水はかなり有効な方法ですけどね)
皆様もぜひ一度チャレンジしてみてください!

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アクアフォレストではお客様のご希望に合わせ、豊富な経験と知識で様々なご要望にお答えします。
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ご相談、お見積りは無料です。

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